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俺の報告

RoomClipを運営するエンジニアの日報(多分)です。

広告ついて注意していること - 日報 #114

目がシパシパしますが、もう少しがんばりましょう。
今日は表題の通り、広告について。
もっと言うと、インターネット広告でも最も原始的な形式である、
バナー広告・いわゆる純広告について少し思うところを。

インターネット上にあるサイトAがありました。
このサイトAで、バナー広告を使ってお金を稼ごう、と思ったときの想定をしてみます。

難しいことを考えず、シンプルにバナー広告という商品を考えると、
売り物は「表示回数」です。
俗にいうインプレッション(imp)です。
値付けは市場が行うとして、ここでは仮に1imp毎に1円とします。

するとimpの限界値はPVとなるわけです。
故に在庫はPVであり、それを広告として切り売りするという図式になります。
とても一般的な話ですね。
100万PVあるサイトが、広告を1円/impで売ろうとしたら、
100万円分の潜在的な商品力があると試算されるわけです。
実際は在庫の6割が売れたとして60万程度と予想するとか、
まぁそんな感じな見積をすることがあります。

ですが、
勿論これは極めて雑な考え方です。
ざっくりした事を考える上では具合のいい数値ですが、
メリットはそれだけだと思います。
実際はそんな風にはなりません。
この試算には、大きな問題が主に2つあると僕は思っています。

まず1つ目は、PVが在庫限界ではないということです。
少し想定すれば分りますが、全てのページに2個広告を貼り付ければ、
それだけで在庫は2倍に膨れ上がります。
極端な話、サイトに沢山の広告枠を用意すれば、原理的には無限にimpを作り出すことができます。

そして2つ目は、1つ目とも関連することですが、
本質的にはPVよりもUUも方が重要な指標である、ということです。
バナー広告出稿者側から考えれば、「1人の人にたくさん見せるのも重要だが、とにかく多くの人にみせたい」というのが、 広く告げる=広告の目的なはずです。
その場合、重要なのはUUです。 極端な話、1UUであっても100万PVを作り出すことは可能なわけですしね。

この2つの問題を合わせると、「サイトAの100万PVのうち、どの程度をimpとして売るのか?」というより、
「サイトAに入ってくるユニークユーザ(UU)のうち、何人に、何回広告を見せれるか?」という方が、
ぐっと意味のありそうな命題になるわけです。
勿論これは試算しづらい値になるので、ざっくりとした計算には向きませんが、
実際にバナー広告を張り始めたときはとても重要なことになると思います。

さて、少し話がずれますが、
一般的に広告は「ビジネス側の要請」と「コンテンツ側(ユーザ側)の要請」が対立する構造になっていると思います。
ビジネスという側面だけでいえば、できるだけ多く広告を露出して、在庫を売り切りたい。
コンテンツ側からは、メインのコンテンツ以外の要素はできるだけ少なくしたい。
簡単に言うとこういう綱引きが起きるわけです。

さて、PV在庫の概念をUU在庫の概念に切り替えたとき、
この対立関係は下記のように書き換えられます。
ビジネスサイド「入ってきたユーザの100%に出来るだけ多く広告を露出せよ」
コンテンツサイド「広告接触するユーザはできるだけ少なくし、回数も減らしたい」
ということです。
どちらの要望も100%通すことはできないので、
いい感じの落とし所が必要なのですが、
こんなもの話し合いで決まるものではありません。
なので、現実的には「恐る恐る広告を始めて、ずりずりと露出量を増やしていって、うざったくなってきた時点で止めたり、減らしたりする」というような対応をするのがほとんどだと思います。

この微妙な調整作業は、
ユーザサイドからすればかなり危険な作業なわけです。
なぜなら、いつ「見辛くなるか」が分からない状態で、見辛くなる方向にゆっくり進むわけですから。
こんな大事な作業を、定量的に管理しないというのはあまりいい事とはいえなさそうです。
ですが、実際はあまり数値化されていない領域なんじゃないかなと思います。

ということで、数値化してみます。

まず重要なのは、広告に接触したユニークユーザの数を把握することです。
これをUV(ユニークビュー)と呼ぶことにします。
ここで重要なのは1つの商品としての広告は1ページだけに貼られるわけではなく、
大抵の場合複数のページにまたがって表示されます。
たとえば、サイトAにはトップページ、目次ページ、記事ページという3種類のページがあるとします。
今、レクタングル広告という商品を作ったとして、これは記事ページだけに表示されるものだとします。
記事は複数あるので、すべての記事ページに露出するとします。
今、ユーザaがとある記事でレクタングル広告に接触しました。
ここで広告のUVは1にカウントされます。
次にユーザaが別の記事でまたレクタングル広告に接触しました。
ここで広告のUVは1のままですが、IMPは2になります。
1ユーザに2回表示した、ということです。
この時の接触頻度のことをadFreq(アドフリークエンシー)と呼ぶとします。
全ページの広告のIMP数を足しあわせて、UVで割ることによって、
平均的なadFreqも判明します。

この数値を管理することで、
「獲得したUUのうち、何%に広告接触し、平均adFreq回表示させた」
が分かりました。
このUUに対する広告接触割合をかりにUUCoverageと呼ぶことにします。
さて、この値をどう扱えばいいのでしょうか。
ここからは僕の個人的考え方ですが、
このUUCoverageとadFreqというのが極めて大事だと思っています。
基本的に全ページに1つの広告を配置した場合、UU=UVだし、PV=IMPになります。
ですが、例えば一部のページのみに1つの広告を運用したとき、

[式α] UV=UUCoverage ✕ UU
[式β] IMP=UV ✕ adFreq

という感じになります。
ここで、PV = Freq ✕ UU という風に、1人あたりの閲覧数をFreq(フリークエンシー)と呼ぶことにします。
ここから式を変形していきます。
式βから
UV = IMP / adFreq
となるので、これを式αに代入して、UUをPVとFreqで表現すると、
IMP / adFreq = UUCov ✕ PV / Freq
となります。
これを変形すると、
Freq / adFreq = UUCov ✕ PV / IMP
となります。
今 IMPに対するPVをPVCoverageと呼ぶこととします。
要はPVに対してどれくらい広告としてIMPしたのかという数値です。
つまり IMP / PV = PVCov ということです。
これを上の式に代入すると、
adFreq / Freq = PVCov / UUCov
という風に変形できます。
この式の定性的な意味は中々面白く、
要は「1ユーザあたりのサイト接触頻度と、広告の接触頻度の比」ということになります。
僕はこの値のことをOverAdと呼んでいます。

adFreq / Freq = OverAd という風に表記しています。

例えば、1ユーザが平均して3PVくらい見るのに対して、
広告は6回程度表示させているという状況ならば、この比は2となります。
この値がいくつならば良いのかはわかりませんが、
例えば1,00,000とかなら明らかに問題だとわかります。
そして、この数値をジリジリと上げていくことが、
「恐る恐る広告を始めて、ずりずりと露出量を増やしていって、うざったくなってきた時点で止めたり、減らしたりする」
ということに近い指標になる、と思っています。
そしてOverAdの値が例えば10程度の時に「クレームを寄せるユーザが1人現れた」という現象が起きたら、
そのプロットを打つことができます。
きっとこのプロットは正の相関を見せると思います。
自分が運営しているサイトが、OverAd一体いくつの時に「うざくなってくるのか」がわかれば、
知見として再利用可能になるはずです。
そして新しい広告の設置の際に必ず参考になるはずです。

非常に長くなりましたが、以上となります。
全部ボクの個人的考えですが、どなたかの参考になれば。
また、個人的な話でいえば、
僕はあくまでユーザに愛されるプロダクトであることがビジネスサイドにとってもいいことだと思っているので、 基本的にはうざくなるまで広告を増やす、なんていう運用はそもそも敬遠すべきなことだと思っおりまする。。。